1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

太陽光ブログ

記事公開日

従来の常識で「スマート保安」は実現できない?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

スマート保安を進めるには、測定結果をデジタル化するだけでなく、「何を、いつ、どこで点検するか」から見直すことが大切です。私達は、従来の電気点検の手法をそのままIT化するだけでは、保安の品質と生産性を十分に高めることは難しいと考えています。

この記事では、太陽光パネルの点検で当たり前とされてきた3つの前提を見直してみます。

太陽光発電の普及を、長く安全に使う仕組みとともに

ビルが立ち並ぶ都市の風景

太陽光発電を広げていくうえで、住宅や工場、事業所などの屋根の活用が期待されています。自家消費やPPAによる導入とともに、設置した設備を長く安全に使い続ける仕組みも必要です。

導入を支える制度も変化しています。2025年10月からは、住宅用太陽光と事業用太陽光の屋根設置区分に、初期の調達価格・基準価格を高く設定して投資回収を早める「初期投資支援スキーム」が導入されました。FIT・FIPによる支援がなくなったわけではありません。

ただし、制度によって導入が進んでも、設備の安全・安定稼働を担うメンテナンスは欠かせません。設置する設備を増やすことと、その後の点検をどう続けるかは、あわせて考える必要があります。

参考:2026年度以降のFIT・FIP制度の買取価格等について(経済産業省)

電気点検にも変革が必要

設置された太陽光パネル

本記事をご覧の皆様の関心事も、「太陽光パネルの点検」ではないでしょうか。設備が増えるたびに、点検に携わる人員も同じ割合で増やせるとは限りません。

電気保安を担う人材の確保は、以前から課題として挙げられてきました。下図は、経済産業省の2019年の「電気保安人材・技術WG中間報告」に掲載された、第3種電気主任技術者の外部委託に関する需給予測です。当時の推計では、2030年に約2千人が不足する見込みが示されていました。

2019年の資料で示された第3種電気主任技術者の外部委託に関する需給予測

経済産業省「電気保安人材・技術WG中間報告」(2019年11月)より。数値は当時の予測です。

この図は現在の不足人数を示すものではありません。ただ、人員を増やすことだけに頼らず、点検方法そのものを見直す必要があるという課題を考える材料になります。

限られた人員で点検の質を保つには、現地で人が行うべき作業と、機器によって自動化・遠隔化できる測定を分けて考えることが大切です。

出所:電気保安人材・技術ワーキンググループ 中間報告(経済産業省)

常識を取り払い「リフレーミング」する

スマート保安は従来の常識では実現できない?

従来、太陽光発電の電気点検は、このような考え方が一般的でした。

  • 電気点検は天候に左右されるのが当たり前
  • 電気点検は発電状態(電圧・電流)を測定するのが当たり前
  • 電気点検は現地で行うのが当たり前

このような従来の常識を一旦取り払って、電気点検を新しい思考の枠組みで見直すことができませんでしょうか? 言い換えると、電気点検を「リフレーミング」するということです。

常時の状態監視と状態に応じた現地点検を組み合わせるスマート保安の概念図

経済産業省「電気保安人材・技術WG中間報告」(2019年11月)より。図中の原出所は平成29年度委託調査です。

この図は、スマート保安技術を活用した点検の効率化・高度化の考え方を示したものです。遠隔監視を導入すれば、どの設備でも現地点検や法令上必要な点検を省略できる、という意味ではありません。

天候に左右されにくい測定を組み込めないか?

「日射条件が整わないので、測定の予定を変更する」。そんな負担を減らす方法はないでしょうか。発電中の出力を調べる試験と、発電していない時間にも行える健全性の試験を分けて考えると、点検の組み立て方が変わります。

例えば、後述するPV遠隔安全診断システムでは、夜間に電気的な健全性を自動測定します。日射の変化に左右される測定だけに頼らず、設備の状態を継続して把握するための取り組みです。

発電状態の確認と、健全性の確認を分けて考えられないか?

電圧や電流、発電量を把握することは大切です。そのうえで、「発電しているか」と「電気的に健全か」を別の問いとして考えてみます。

発電状態の監視に、絶縁性能や回路の健全性を調べる測定を組み合わせれば、点検で確認する内容を広げられます。何を知りたいのかを先に決め、その目的に合う測定を選ぶということですね。

遠隔で把握し、必要な現地対応につなげられないか?

定置型の機器で測定し、結果を遠隔で確認できれば、測定のたびに人が現地へ向かう負担を減らせる可能性があります。異常が疑われる設備を把握してから、現地での調査や補修につなげる考え方です。

もちろん、設備の外観確認や補修など、人が現地で行う作業は残ります。遠隔診断と現地点検を組み合わせ、限られた人員と時間を必要な作業に振り向けることが、スマート保安の目的です。

PV遠隔安全診断システムへの取り組み

私達アイテスも、この考え方に基づく「PV遠隔安全診断システム SoT(そっと、)」の開発を進めています。夜間の自動測定とクラウド上の診断によって設備の異常を把握し、保守点検者の早期対応につなげるシステムです。

東北電力株式会社と共同開発したPV遠隔安全診断システムは、2025年に第70回澁澤賞を受賞しました。同年の受賞発表では、今後も製品化を進める方針を示しています。

システムの概要はアイテスのSoT紹介ページ、開発状況は澁澤賞受賞のお知らせをご覧下さい。

PPA事業の採算や施設屋根の安全との関係については、「PPA事業者のO&M ~施設屋根の安全、あんしんのためのスマート保安~」で詳しくご紹介しています。皆様の点検でも、「何を、いつ、どこで確認するか」を見直すきっかけにして下さい。

初公開日:2021年05月25日
改稿日:2026年09月09日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
オンラインストアはこちら

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

077-599-5040

9:00~17:00 [平日]