東京電気管理技術者協会千葉支部に所属している会員有志により結成された、太陽光発電所支援チーム「ソーラーSAT」。今回は、代表の長嶋様をはじめ、ソーラーSATに所属するメンバー6名の方にお集まりいただき、SAT設立の経緯とその取組についてお話しを伺いました。

ソーラーSATの皆さま
ソーラーSATの皆さま

ソーラーSAT」は、発電所のトラブルにいち早く駆付け、速やかに解決させるスピード支援チーム。Speedy Assist Teamの頭文字をとってSATと名付けています。発電所の保安管理から太陽光パネルの保守点検までオーナーから選任された電気主任技術者としての使命を果たす、その活動を紹介します。

ソーラーSAT設立の背景と目的

東京電気管理技術者協会の会員数は現在約2,400名。東京電力管内の電気管理技術者が所属する公益法人として昭和42年に発足。電気保安に関する技術の向上を図るとともに電気に関する安全確保に寄与することがこの協会の目的です。同協会会員が受託している高圧連系の太陽光発電所は合計約2,100件にものぼるとのこと(2016年9月現在)。

ソーラーSATは同協会千葉支部の会員有志により2015年に結成されました。現在メンバーは約20名。他の電気保安法人やO&M会社と渡り合える組織力を構築し、太陽光発電所オーナーから選ばれる電気主任技術者集団として、業界から高い信用を得ることを目的としています。

ソーラーSATの役割

ソーラーSAT・チーム活動
ソーラーSAT・チーム活動

全国の電気管理技術者協会に所属している電気主任技術者はあくまでも個人事業として保安管理業を営み、ソーラーSATメンバーもそれぞれが個人の責任でオーナーから電気設備の保安管理業務を受託しています。

メンバー各々が移動時間2時間圏内において数件から数十件の太陽光発電所の保安管理を受託していますが、天災時の復旧措置となると個人の活動だけでは限界があります。それを補うためソーラーSATでは相互支援体制を構築し、個人の活動では成し得ない緊急応動や短時間復旧を行うことを可能にしています。

ソーラーSAT

例えば、台風被害時や落雷発生時には情報伝達網を駆使しメンバー間で情報を共有、発電復旧のため現場直近のSATメンバーが現場へ急行し、短時間での応動(駆けつけ対応)を行う。大規模メガソーラーの年次点検では、売電ロスをできる限り少なくするためソーラーSATメンバー複数名を一気に投入し短時間で点検作業を終える体制を敷く、等々。

ソーラーSATメンバーは、オーナーから選任された電気主任技術者という立場から自ら点検をおこなって不具合を発見しその対応策をオーナーに助言することを主眼としています。

ソラメンテiSを使った点検
電気主任技術者という立場から責任点検

杜撰な施工を行ったり不適切な設備を納品したりする業者も少なくない中で、発電設備の保安管理全体の責任を担う電気主任技術者は、電気知識が乏しいオーナーに代わって毅然とした態度で不具合への対応を業者に指導することもしばしば。

太陽光発電業界では現在、多くのO&M会社が各社特徴を打ち出しながら存在感をアピールしていますが、ソーラーSATのように、太陽光発電所オーナーから直接選任された個々の電気主任技術者がネットワーク化し、電気のプロ集団という立ち位置から太陽光発電所のO&Mマーケットの一翼を担おうとしている点に注目です。

ソーラーSATの技術力

ソーラーSATの勉強会

一般的に電気管理技術者協会所属の電気主任技術者は個人で活動しています。

実のところ協会会員のスタンスはさまざま。太陽光発電所は経験したことがないから受託しない、受託はするが直流側は関与しないという技術者も少なくありません。受託する意欲はあるが直流側のパワコンやパネルはブラックボックスでどう対応したらいいかわからないという若手の技術者もいます。

たしかに従来の電気主任技術者が管理してきた工場やビルなどの電気設備と太陽光発電設備とは管理手法が別。特にここ数年で一気に増えた産業用太陽光発電所は、故障に関する知見が少なく、今までの経験を生かしにくいのが実情です。

そんな中、ソーラーSATは現場でのトラブル事例や新しい技術をメンバー間で共有し相互研鑽を行い、各々の太陽光発電の保守管理業務に生かしています。またその技術力を次の世代へも継承していくこともソーラーSATの意義のひとつ。そのために、ソーラーSATは不定期に勉強会を開催しているとのことです。

ソラメンテZ、ソラメンテiSを前に勉強
メンバーは技術力向上のため、定期的に情報交換を行う

今回の取材では6名のSATメンバーが取材に協力いただきましたが、メンバーが集まると各々の現場でのトラブル事例やパネルの故障事例についてさまざまな情報が飛び交い、かなり高度な電気技術の情報交換を活発にされていました。

今回の約1時間の取材の中での事例報告だけでも技術解説書が1冊かけるぐらいの情報量。この膨大な量のノウハウの共有がメンバー各々の受託現場で生かされるに違いありません。

ソーラーSATの点検業務の実際

ソーラーSATの発電所での点検
発電所の目視点検を行う

ソーラーSATメンバーは、太陽光パネルの管理も含めないと太陽光発電所の保安管理と言えない、と捉えています。

長嶋代表は、

「電気事業法に基づいた保安規程では、50kW以上の太陽光発電所の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために電気主任技術者を選任している。したがって、電気主任技術者は太陽光発電所のフェンスの中で起こることはすべて監督対象となりオーナーに報告し助言する責任がある。直流側やパネル側はわからないから関係ないとは言えないはず。

点検の“作業”をするかしないかは受託契約によるが、たとえ電気主任技術者が自分で太陽光発電所の一部点検の作業をしない場合でも、別途委託したO&M会社が行った点検結果を電気主任技術者が自ら査定しオーナーへの助言を行う義務がある。

それゆえ、ソーラーSATでは太陽光発電所全体の電気的な不具合を把握できるよう、絶縁抵抗計やテスター、電流計だけでなく、パネル側の不具合を判断できるソラメンテも採用している。」とのこと。

パネルの故障は目視だけでは分からずソラメンテなど専用装置を使って点検する必要があることを深くオーナーにも理解していただいている。

さらに、ソラメンテの点検結果はデータを表形式にまとめ、写真を添付しオーナーへ報告している。オーナーがパネルメーカーに故障パネルの交換を依頼する材料として利用していただけるように工夫している。」と長嶋代表。

ソーラーSATでは、オーナーに遠隔手動復帰装置をお薦めしている
遠隔手動復帰装置の一部

さらに、ソーラーSATでは、オーナーのメリットと自らの作業負担軽減のために、停電時の緊急対応ができる遠隔手動復帰装置の設置を、オーナーにお勧めしているとのこと。

系統復旧時のパワコン復帰は現地での手動復帰が原則ですが、ソーラーSATが推奨する遠隔手動復帰装置は、パワコンの復帰操作を遠隔手動で行うシステムとなっています。このようなIT技術を併用することで売電停止時間を大幅に減らすことができ、オーナーに喜ばれているとのことです。

ソーラーSATとソラメンテ

Solamente SZ-100
ソラメンテ-Zによるインピーダンス測定

電気管理技術者の主要作業は高圧設備の点検ですが、ソーラーSATではパネルの点検もオプションメニュー化しています。オーナーへのパネル点検の提案はアイテスが発刊している「メンテブック」や「オーナーブック」を活用しパネル点検の必要性を説いているとのこと。また、初回に無償の点検デモを行いその有効性をオーナーに確認していただくと、次回からは有償でいいからパネル点検をしてほしいと言われることが多いそうです。

長嶋代表は2014年にソラメンテ-Zを導入して以来、ひと月に数千ストリングの点検をこなしていらっしゃいます。

「ある発電所で、ソラメンテのデモ点検を行ったところ故障パネルが数枚発見できた。

そのオーナーにこの意義を認めてもらい、ソラメンテによる有償点検を毎月行うことになったが、ほぼ毎月といっていいほど故障パネルを発見している。パネルの故障は目視だけでは分からずソラメンテなど専用装置を使って点検する必要があることを深くオーナーにも理解していただいている。

さらに、ソラメンテの点検結果はデータを表形式にまとめ、写真を添付しオーナーへ報告している。オーナーがパネルメーカーに故障パネルの交換を依頼する材料として利用していただけるように工夫している。」と長嶋代表。

SI-100
ソラメンテ-iSによる故障パネル探索

ソーラーSAT発足メンバーであり、現在同協会千葉支部副支部長の鈎様は、

「アイテスのソラメンテは決して安い点検機器ではない。ただし太陽光パネルの故障点検に特化した使いやすさと、それ以上にメーカー対応が早くて丁寧。プロとして点検機器を使う側からすると、機器選定の判断基準に機器の機能や使いやすさ、また当然価格の低さもあるが、購入後のメーカーサポートの良し悪しが最も重要。アイテスはサポートがしっかりしている。」とコメントをいただくことができました。

ソーラーSATの今後

FIT法改正を控え、今大きく次の段階へ移行しようとしている太陽光発電業界。

新規着工案件が減少する中で、業界プレーヤーの淘汰が進み、O&Mマーケットが次のビジネスとして賑わいを見せつつあり、さらには太陽光発電所の中古売買市場の動向も注目されています。ソーラーSATはそんな業界動向を見据えた展開も模索しています。

鈎様は、

「近々ホームページにソーラーSAT専用ページを設け広くソーラーSATの活動を発信することを計画中。現在は千葉県を中心として活動を行っているが、近い将来は全国の技術者有志をネットワークでつなぎ全国の太陽光発電に携わる電気管理技術者のレベルアップを図り、業界での存在感を高めたい。」とソーラーSATの抱負を熱く語って下さいました。

終わりに

施工や販売を主たる業としていない電気主任技術者。そのプロ集団であるソーラーSATがパネル点検の技術力を高め、太陽光発電所のO&Mを本格的に行うようになると、オーナーの選択肢がよりいっそう増えることになるでしょう。また今後広がりをみせる中古売買市場において第三者的立場から発電設備の発電能力を査定できる技術者集団としてソーラーSATが活躍する可能性も有していることは見逃せません。

今回の取材では、ソーラーSAT代表の長嶋様、東京電気管理技術者協会千葉支部副支部長の鈎様、そしてメンバーの小川様、太田様、宇佐美様、郡上様にお話をお伺いいたしました。業界の中の主要な流れのひとつを作る可能性を秘めたソーラーSAT。アイテスはソラメンテのプロユーザーであるソーラーSATを今後も支援させていただく所存です。

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