ソラメンテQ&A

ソラメンテQ&A

ソラメンテに関する、よくある質問をまとめました。

製品について

等価回路

インピーダンス(交流信号)を使って、太陽光パネルの直列抵抗Rsだけを測定するという手法がインピーダンス測定です。

太陽光パネルは複雑な回路になっているため、オームの法則でいう単純な抵抗を測定しても、故障を判定することができません。乾電池を汎用テスターで測定しても正確な値が出ないのと同じです。インピーダンス(交流信号)を使って、太陽光パネルの直列抵抗Rsを測定することにより、クラスタ断線(インターコネクタ上の故障)を特定できるのです。

なお、太陽光パネルはPCSを止めても電圧が出続けます。このため、太陽光パネルの抵抗を汎用テスターで測ると、テスターが壊れる可能性がありますのでご注意ください。

もっと詳しい測定原理を知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。
「ソラメンテシリーズ」の技術解説

納品後1年以内は、無償保証期間となっております。弊社推奨(取扱説明書)の使用下での故障につきましては、修理費用はかかりません。

無償保証期間が過ぎている場合は、故障箇所にもよりますが、修理費用は5万円~20万円くらいになります。

無償保証期間終了後の保証期間延長をご希望のお客様は、「ソラメンテ安心パック・安心パックプラス」をご利用ください。

故障内容によって異なりますが、目安としてアイテスへ製品到着後1週間~2週間ほどかかります。

SZ-1000・SZ-200・SZ-100・eZ-10については「校正サービス」を行っております。

校正後には、校正証明書・試験成績書・トレーサビリティ体系図を発行いたします。

校正で機器に異常が見つかった場合は、別途、調整・修理費用がかかります。

年に1回の校正を推奨しております。お客様の使用頻度や会社の規定などを考慮して、ご自身で判断ください。

目安としてアイテスへ製品到着後2週間です。

同時に「点検」サービスや「操作パネル部の交換」サービスをご依頼いただいた場合、さらに1週間~かかります。

ソラメンテは、弊社推奨(取扱説明書)の使用下で、法定耐用年数5年を想定して設計しています。
 

ソラメンテZソラメンテ‐iSともに消耗部品を使用しておりますが、お客様の使用頻度によって消耗度合いに差があるため、交換時期を設定しておりません。測定器の消耗が気になられたら、「点検」サービスをお勧めします。

オーバーホールサービス」は、2020年7月をもちまして終了いたします。

後継として、「点検」サービスを開始いたします。測定器の動作確認を行い、検査報告書と合わせてご返送いたします。

ユーザー様につきましては、レンタルサービスをお使いいただけます。

それ以外では、NTTレンタルエンジニアリング様・オリックスファシリティーズ様で取り扱いがありますので、直接お問い合わせください。

ソラメンテの操作について

ソラメンテ‐Zでソーラーパネルのストリングを測定するときには、接続箱のPN電極端子を開放状態にして点検を行います。

このPN端子には開放状態で数百ボルトの直流電圧がかかっています。接続端子は人が接触しにくい構造になっていることが多いですが、万が一接触してしまうと感電する可能性があります。そのため労働安全衛生法では、高電圧の点検作業を行う場合に、電位が直流750V以下は低圧電気取扱業務特別教育を、直流750Vを越える場合は高圧電気取扱業務特別教育を受講することが規定されています。「【入門編】点検に必要な4つの保護具と資格とは」のページもご参考ください。

太陽電池発電設備は電気工作物です。接続箱や一部のPCSの操作が必要となります。誤操作によって復旧できなくなることや感電する恐れがあるため、必ず施工業者、電気主任技術者、電気保安協会、O&M専門業者に相談・依頼してください。

「OL」は「Out Of Limit」の略称です。

判定される閾(しきい)値については諸条件により異なります。お手元の取扱説明書をご覧ください。

取扱説明書を失くされた方は営業担当までご相談ください。

 ソラメンテ-Zの測定データから、開放電圧ならびにインピーダンスを前後のストリングと相対比較し、故障モードを判定してください。

各故障モードの故障パネル特定については、お手元の取扱説明書をご覧ください。

オプション品のスーパーロング延長棒をお使いいただくと、最長3.8mまで延長できます。また、野立ての発電所では、パネルの裏面からでも点検が可能です。

延長棒を使ったオペレーション

スーパーロング延長棒

パネル裏面からの点検

パネル裏面からの点検

上書きされません。測定は続けられますが本体内部メモリーの保存件数以上になった場合、測定結果は表示するだけでメモリーへの記録はされません。一旦データを保存したあとに本体内部メモリーを消去してから測定を行ってください。

各機種の記録件数

機種記録件数
SZ-100999件
SZ-2003000件
SZ-10004000件

パネルの発電電流が止まる直前の数十分間は結晶セルの特性上、セル内の内部抵抗が上がる現象が起こります。これは故障ではありません。その時間帯を避けて、点検を行ってください。

ソラメンテZは、開放電圧とインピーダンス測定の結果から得られた所見を、アルファベットの記号により「所見マーク」として表示しています。それぞれの「所見マーク」の意味は、下記の表をご確認ください。

所見マーク意味
電圧値が低い。
電圧値が5分以内に測定された直前の測定結果との差が8V以上だったときに、表示されます。
抵抗値が高い。
電圧値が100V以上であれば抵抗値が50Ω以上だったとき、電圧値が100V未満であれば抵抗値が125Ω以上だったときに、表示されます。
電圧値が低く、抵抗値が高い。
上記の電圧値と抵抗値の条件が両方とも成り立ったときに、表示されます。
測定中にプローブがはなされた可能性があることを察知したときに、表示されます。このストリングをもう一度測定してください。
接続箱からストリングまでの配線でクロストークが起こっている可能性があることを検知したときに、表示されます。
電圧を検知できているのに、本装置が接続箱から入力した抵抗値を測定するための信号が戻ってこなかったことを検知したときに、表示されます。
接続箱からストリングまでの配線の長さが数百メートルにも及んでいる場合、この現象が発生する可能性があります。
このマークが表示されたストリングも「OL」と判定されますが、大幅な出力低下となる故障(クラスタ故障)が発生していない可能性があります。ソラメンテ-iS(別売)を使って、クラスタ故障が発生しているソーラーパネルの有無を必ず確認してください。
接続箱からストリングまでの配線で高インダクタンスを検知したときに、表示されます。このマークが表示されたときに、抵抗値が高くなることがあります。
Pパワーコンディショナが発する電気ノイズがストリングの直流回路に伝わり、本体が抵抗値を測定するためにストリングに印加している信号に障害を与えていることを検知したときに、表示されます。
該当ストリングの近くに動作中のパワーコンディショナがある場合、この現象が起こることがあります。
ノイズ量の数値が1,000を超えていた場合、該当ストリングの抵抗値を正しく測定できていません。該当ストリングの近くに動作中のパワーコンディショナがあれば、すべて停止させてください。
ノイズ量の数値を見る方法は、取扱説明書「8.4 測定結果を閲覧する([閲覧]モード)」を参照してください。
プローブは奥までしっかり挿し込まれていますか? プローブが奥まで差し込まれていないと、測定できなかったりすぐに抜け落ちたりします。また、しっかりと差し込まれていないことで、接触不良となり本体を壊す恐れがあります。 奥までしっかり挿してください。
プローブのコネクタは最後までしっかりと挿し込んでください。

ソラメンテ-iSは、パネル探索前に簡単な初期化が必要です。 初期化がされていないと、センサーが鳴りっぱなしになったり、電極で反応しなかったり不安定な動作をしてしまいます。初期化の方法については、以下をご確認ください。

ISの初期化の方法

特に冬場にこのようなご質問を多くいただきます。

ソラメンテ-iSは、モジュールのインターコネクタ―を流れる発電電流から発生する磁界を、センサーでとらえて測定を行います。冬場になると日照条件が悪くなりますので、当然ですが発電電流が弱くなります。寒くなり始めた時期にソラメンテ-iSのセンサーの反応が弱くなったなと感じられる原因の多くは、この日射量の低下によることがほとんどです。

セル上にあるインターコネクタで反応が弱いときには、モジュールの端にあるクラスタ単位でまとまったバスバー電極で測定することをお勧めします。モジュール端に集約されたバスバー電極はより多くの電流が流れています。

写真2

測定方法はこの動画をご覧ください。

なお、ソラメンテ-iSのセンサーをスマホ等の電子機器にかざすことで、センサーが機能しているかどうかを簡易的に確認できますので、一度お試しください。

ソラメンテは「乾電池」で駆動しています。実は、乾電池は寒さに弱いため、極寒の発電所でソラメンテをご使用いただいていると、乾電池の性能低下により動作が不安定になることがあります。

乾電池は、内部で起こる化学反応が電気エネルギーを作り出す、「化学電池」です。乾電池の内部で起こる化学反応の勢いは、温度によって異なります。温度が下がると化学反応が不活発になってしまい、乾電池から電流を流す性能が低下してしまうのです。寒い日に乾電池で駆動する電子機器を使うと、新品の乾電池を入れたはずなのに、すぐ電池切れを起こして使えなくなってしまった、という経験はありませんか?

このように、動作が不安定な原因として低温が疑われる場合は、乾電池を懐に入れて人肌くらいに温めることをお勧めします。乾電池の内部で起こる化学反応が活発になり、電流を流す性能が少し復活することがあります。ただし、ストーブの近くで温めたりすると、破裂する恐れがあるので絶対におやめください。

ソラメンテの点検について

ソラメンテは安全面から、雨天での使用を考慮しておりません。そのため防水仕様ではありません。水濡れや水没による故障は、製品保証の対象外となりますので十分ご注意ください。また、雨天での使用は絶対に行わないでください。

接続箱のブレーカーがONになっていると、インピーダンス測定信号がストリング側とパワコン側へ流れるため、ストリングのみのインピーダンスが評価できません。

必ず接続箱のブレーカーをOFFにして、開放状態で測定してください。 また、インピーダンス測定中のブレーカー操作は、感電や機器を破損する可能性もあります。危険ですので、絶対にやめてください。

ソラメンテ‐Zは接続箱の開閉器の接続端子経由で、ソーラーパネルのストリングに解析信号を発信して、インピーダンスを解析します。その際に、PVケーブルの長さやソーラーパネルの配置の影響を極力小さくして、インピーダンスを測定する工夫をしています。

PIDは、太陽電池セルがカバーガラスのナトリウムイオンに反応し、発電性能そのものを低下させる現象です。

PIDが起こっているパネルをソラメンテ‐Zで測定すると、インピーダンスに変化はありませんが、開放電圧が大きく低下していることで推測は可能です。さらに、PIDが発生しているパネルをソラメンテ-iSを使って点検すると、開放状態であるにもかかわらずパネルの電極部分で所々センサーが反応することがあります。

これはPIDにより、太陽電池セルの並列抵抗と呼ばれる抵抗成分が小さくなり、太陽電池セル内部で短絡回路が形成され、電流がセル内をループしたと推定できます。また、PIDの発生したソーラーパネルを外し、弊社のPVXシリーズでEL検査すると、画像の濃淡で発生の有無を判断することができます。

1メガであれば、ソーラーパネルの枚数は約4000枚です。したがって1ストリングを15直と仮定すると、ソラメンテ-Zで測定するストリング数は約267か所。1か所の測定時間は3秒程度ですので、接続箱の開閉準備、移動などを含めて、2時間~半日程度で終わります。

時間に幅があるのは、発電所の設置状況によって変わるためです。例えば、野立てでも傾斜地と平地で違いますし、接続箱の配置、ソーラーパネルの配置によっても違ってきます。平地の野立てで密に設置され、接続箱もまとまっている環境では、2時間よりも早く終了した事例もあります。

サーモカメラは温度分布状態を把握するツールなので、サーモカメラの操作に習熟した人にとっては有効なツールです。しかし、外気温によってソーラーパネルの故障による温度差異が小さくなったり、発電状態によっては故障時の発熱が小さかったりするので、故障のすべてを見分けられるわけではありません。

ソラメンテ‐iSはソーラーパネルの発電電流を直接確認するツールなので、サーモカメラと得られる情報が違います。パネルメーカーが故障パネルの交換に応じられるのは「発電性能が低下したもの」ですので、電気的に故障しているのかを確認する必要がありますが、サーモカメラではこの判断はつきません。

ドローンと組み合わせた点検

SR-200はPCSの運転停止状態(発電停止状態)での点検を想定しています。 PCS運転状態の場合はPCSからのノイズの影響を受け、故障パネルの特定が困難な場合があります。

仮に3つのクラスタ回路で構成されているソーラーパネルの1つのクラスタ回路が故障しているとすると、出力は定格値の66%となりますので、メーカーの保証値が81%であれば保証値を下回ります。

ただし、パネルメーカーによって出力保証の確認方法は違いますので、各パネルメーカーが決めている方法で確認し、交換条件に該当するならば良品と交換になると思います。

ソラメンテは発電所に設置されているたくさんのソーラーパネルの中からクラスタ故障のパネルを特定するツールで、その労力を大幅に軽減します。クラスタ故障を発見した後は、お手持ちの汎用テスター、IVカーブ測定器、クランプ電流計などで故障パネルだけを測定し、エビデンス(証拠データ)を取ることも有効です。

最終的に交換対象となるかどうかは、パネルメーカーの判断となりますので該当のメーカーへお問い合せください。

ソラメンテ‐Zは開放電圧とインピーダンス(内部抵抗)を測定しますが、このうちインピーダンスについては、結晶型パネル(単結晶、多結晶、HIT)が対象となります。薄膜型パネルは対象としていません。

ソラメンテ‐iSについてはオプションのCiSアダプターを装着することにより、ソーラーフロンティア製CiSパネルのバイパスダイオードショート故障を特定することが可能です。

なお、結晶型であっても新しい新技術を取入れたパネルについては測定できない可能性がありますので、ご不明点は弊社までお問い合わせ下さい。

現在、市場で販売されているほとんどの接側箱、分散型PCSで測定が可能です。 ただし、一部の分散型PCSはノイズの影響によりソラメンテZのインピーダンス測定結果に影響を受ける場合があります。現在、下記のPCSで点検結果に影響があることを確認しています。

    • 田淵電機製の分散型PCS(25KWタイプ)でノイズによる影響を確認しています。
    • サングロウSG49K5Jは電流センサーの影響により、インピーダンス測定結果に影響を受ける場合があります。
    • シャープJH-L304はノイズフィルタの影響により、インピーダンス測定結果に影響を受ける場合があります。

 

ソラメンテ-Zは、ストリングの直列回路が開放された状態で測定を行います。 P側の断路機を切り離した状態でその条件が満たされている場合、N側が銅バーで共通となっていたとしても測定は問題なく結果が得られます。

ただし、N側銅バーに遠隔監視の通信線等が接続されていたりすると、その配線からの影響により正しい結果が得られないことがありますのでご注意ください。

スネイルトレイルは、太陽電池セルにクラック(割れ)があるときに、設置環境によって発生し、可視化される現象です。

スネイルトレイルは発電出力に直接影響しない事例が多く、ソラメンテでの点検や出力測定器などの測定により異常がみられない場合は、発電性能自体には問題がありません。

しかしながら、その状態が進行し、セルが複雑に割れることで内部回路の断線や高抵抗につながる場合もあります。そのような状態になると、ソラメンテでの測定結果に異常として現れます。

 

PからNへ

ソラメンテ-Zのインピーダンス測定(モジュール内部抵抗測定)は、P極から信号を送信しN極へ戻ってくる信号波形の変化により直列抵抗を測定しています。測定結果はモジュール内部の電極接合部(TAB間/ケーブル間)に高抵抗化/断線が発生すると、測定値(Ω)は大きくなります。

一方、モジュール内部の電極接合部の接点は、気温の変化による材料の膨張・収縮の影響で接合度合いが変化することがあります。また、ジャンクションボックスから出ているPVケーブルとモジュール内部電極の接合部は、風の影響や人が触れることなどにより、物理的に接合度合いが変化することがあります。つまり、電極接合部がくっついたり離れたりするのです。

ジャンクションボックスの接触不良

このように電極接合部が不安定な状態であると、ソラメンテ-Zの測定結果も影響を受けていると考えられます。そのため、一度ソラメンテ-Zで測定した結果がOL表示となったストリングでも、後日再測定すると正常に戻る現象が発生します。