太陽電池のEL画像は、工場での工程内検査や出荷検査に使われており、セルのクラックや発電不良セル(ブラックアウトセル)を検出する目的でした。最近のソーラーパネルのEL画像を見ると、クラックが減ったと感じます。今回は、EL画像で見える太陽電池の劣化を紹介します。
クラックのEL画像裏面電極型太陽電池(ブラックソーラー、バックコンタクトタイプ )
安土城の青瓦ではありませんが、太陽電池も出だしのころは青色でした。最近は意匠性と発電効率が高い黒色が増えてきました。肉眼では見えないクラックですが、EL画像ではセルの色に関係なくよく見えます。

PIDもEL画像で見えます
EUで問題になっているPID(Potential Induced Degradation)は、出力が激減する問題です。その原因は、ソーラーパネル表面の強化ガラスからナトリム溶出し、セルを汚染しているため、と考えられています。EL画像で汚染が見える訳ではありませんが、PIDを発症しているセルは、EL画像でわかります。暗部およびブラックアウトセルがPID状態です。

電極の異常も、EL画像でみえます
太陽電池を長く使っていると、表面電極が腐食したりインターコネクターが剥がれたりします。太陽電池内部の封止樹脂である(EVAエチレン酢酸ビニル共重合樹脂)が加水分解して酢酸を発生し、発生した酢酸が表面電極である銀を腐食すると云われています。
太陽電池内の配線であるインターコネクターは、セルと半田付けされていますが、日夜の気温差で太陽電池が伸び縮みし、その結果インターコネクターが剥がれてしまいます。EL画像で酢酸による腐食や半田の剥がれは直接見えませんが、腐食や剥がれが発生している現状をEL画像で見つけることができます。


左上のEL画像は、表面電極が腐食した太陽電池です。特徴は、バスバー周辺が発光しそれ以外が暗部になります。
右上は、信頼性試験で表面電極が腐食した1セルモジュールです。同じように、バスバー周辺が発光しています。しかし、PL画像は、正常なので発電層は健全で、表面電極の問題であると分かります。