スネイルトレイルが発生し取り外された複数のパネルをPVX300(アイテス社製)EL 画像検査装置で撮像し、実在するクラックとの位置相関を検証したところ、例外なくスネイルトレイル軌跡と同じクラック線が写しだされました。
最近の技術報告(ドイツ) では、稼働後にパネル裏面から侵入した水分が、温湿度や通電のストレスサイクルによりクラック内でソーラーセル上の銀電極と化学反応を起こし、銀の粒子が流出することでクラック痕上を黒く変色させている、という分析結果を報告しています。今回のパネルも、おそらく入荷時点で因子となるクラックがセル内に複数存在しそれが繋がり、またはそのままの形で表面変色として顕在化したものと思われます。
現在アイテスでは、サンプルパネルを自社環境試験設備で加速ストレス試験を開始、まだ不明な点が多いスネイルトレイルの発生メカニズムの解明に着手しました。まずはクラックが出力低下に直結するのかを検証、次にスネイルトレイルへの成長をシュミレーションする予定です。
余談ですが、今回のパネル一枚の表面を意図的に均一に踏みつけ、その前後をEL 撮像した結果、一部のセルでクラックが発生しました。施工時にあり得るだろう、パネル表面の歩行による物理的ストレスで、極微小クラックを持つセルが反応したと思われます。逆に、ほとんどのセルでは踏みつけ前後の画像変化は見られず、クラック因子のないセルは外部押圧にも強いだろうことが言える、との見解です。設置現場では、パネルの強化ガラスの上を歩くことがあるかもしれません。クラックはいつ作りこまれるのか、参考となるデータです。