PPA事業者のO&M ~施設屋根の安全、あんしんのためのスマート保安~

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再生可能エネルギーを2050年、50~60%に

周知のとおり、昨年末、日本政府は、再生可能エネルギーを2050年に50~60%にすることにより、温暖化ガス排出量を2050年に実質ゼロにすると打ち出しました。

また、太陽光発電協会(JPEA)は、PV OUTLOOK2050で2050年に導入量300ギガワットというビジョンを掲げ、太陽光発電が再生可能エネルギーのイニシアティブをとる決意を表明しています。

再生可能エネルギー

すでに、世界的な動きとしては、環境経営に向けたアクションとして、RE-100やSDGsの採用、脱炭素社会に向けた、環境・社会・企業統治に配慮する企業を重視して投資を行う『ESG投資』などが行われ始めています。

国内外で注目集まる太陽光発電のPPAモデル

このような背景から、国内産業界でも脱炭素化の動きが俄かに活発になっており、再生可能エネルギーの導入に向けた検討が次々と始まっているようです。

(出典:東京電力エネペディア)

そこで期待されているのが、電力需要家が初期の導入コストを軽減しつつ再生可能エネルギーを導入できる、太陽光発電システムの第三者所有モデル(PPAモデル)です。

先行する欧米の再生可能エネルギー市場では、すでに企業(電力需要家)と発電事業者が直接で電力購入契約を結ぶコーポレートPPAが盛んにおこなわれており、2020年、米国ではコロナ禍にもかかわらず、11.9GWもの再生可能エネルギーがPPAにより導入されました。

参考記事:パンデミック乗り越え、2020年も拡大した企業の再エネ調達
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/feature/00003/020400051/
(出典:日経メガソーラービジネス 2021/2/8)

一方、国内市場では、昨年から大手再エネ関連企業を中心に事業用施設屋根を利用したオンサイトPPAによるビジネス展開が活発になってきました。

参考記事:オリックス、PPAモデルの顧客紹介で百五銀行と提携
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/01427/
(出典:日経メガソーラービジネス 2021/1/8)

2050年、再エネ50~60%へ向けて太陽光発電の普及をリードする事業モデルとして期待されているPPAですが、課題も少なからずあるようです。

課題1、LCOE低減

LCOE低減

PPAは事業者負担で設置した太陽光発電設備のコストを契約した建物所有者との電力売買契約により回収していくビジネスモデルです。当初の想定通り回収できるかどうかは、太陽光発電システムの稼働状況のみならず、ランニングコストも大きく影響します。

もし、太陽光パネルが故障したら発電量は低下しますので回収リスクとなります。そして、パネルの交換が必要になればその交換費用が発生します。

太陽光発電事業では、事業性を測る指標として、LCOE低減という考え方があります。

LCOE (Levelized Cost Of Electricity)とは、「均等化発電原価」のこと。ある太陽光発電事業について、EPC(設計・調達・建設)からO&M(運用・保守)、さらに廃棄までの総コストを、生涯発電量で割った値です。

PPAについても、このLCOE低減の考え方必須となります。EPC面でのコスト低減だけでなく、O&Mのコスト低減についても事業の計画当初より考慮しておく必要があります。

課題2、保安リスクマネジメント

PPAモデルでは、PPA事業者が建物所有者の屋根上にPPA事業者の設備として太陽光発電システムを設置します。そのため、太陽光発電システムが施設屋根に対して影響を及ぼさないよう十分に考慮する必要があります。建物所有者の大事な資産を損壊したり、焼損してしまったり、重大な過失となった場合は、その対応に莫大な費用が発生することになります。万が一、人的被害にかかわるようなことになれば企業経営にも大きな打撃となってしまいます。

自社所有の野立て太陽光ですと、敷地内で発生する太陽光発電設備の損壊リスクはそこまで大きくないかもしれません。しかし、建物オーナーの屋根に太陽光発電システムを設置するPPA事業では、保安面で十分なリスクマネジメントが必要となるのです。

スマート保安がPPA事業性向上のカギ

以上のような、「O&Mのコスト低減」、「保安リスクマネジメント」というPPA事業における相反する2つの課題を両立させるためにはどうすればいいのか?

そのカギとなるのが、IoT技術を活用したスマート保安への取り組みです。

とりわけ重要なのは、TBM(Time Base Maintenance:時間計画保全)からCBM(Condition Base Maintenance:状態監視保全)への転換、という考え方です。
TBMは、いわゆる従来の定期点検のように、一定の時間間隔でメンテナンスを実施するという「予防保全」の考え方で、CBMは、稼働中の設備に対して不要な機器交換や人的作業を行うのではなく、設備の常時監視により必要と判断された時点で対処する「予知保設」の考え方に基づく新しいメンテナンスです。

一方、電気保安人材の面では、電気主任技術者の高齢化による専門技術者の不足、さらには新型コロナウイルス対策により電気技術者に対してもテレワークを促す動きがあるなど、現場で点検を行う人材の不足も大きな問題となっています。
そんな背景からも、CBMをベースとしたスマート保安は、経産省の主導により太陽光発電システムの保安管理にも活用されようとしています。

参考記事:電気主任技術者もテレワーク、「スマート保安」必須に
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/feature/00006/00012/
(出典:日経メガソーラービジネス 2020/5/28)

PPAのスマート保安を実現するPV遠隔安全診断システム

PPA事業を取り巻く課題に対して、アイテスは住宅屋根や事業用施設屋根に設置する太陽光発電システムの安全性向上とリスクマネジメントを実現する新たな機器の開発にチャレンジしています。

開発コードネームは「PV報知器」

PV報知器は、アイテスがソラメンテで培った太陽光発電システムの故障解析のノウハウ、センシング技術に、IoT・クラウド・無線通信技術を組み合わせることで、無人点検を実現します。従来は専門技術者が行ってきた電気試験を毎日自動で行う、「予知保全」の考え方に基づく、次世代のPV遠隔安全診断システムです。
https://www.ites.co.jp/panel/pv20200520.html

言うまでもなく、太陽光発電システムはメンテナンスフリーではありません。稼働中は常に故障のリスクが存在します。しかしながら、コスト面・人材面から、ヒトによる点検の頻度を増やすことは現実的ではありません。
PV遠隔安全診断システム「PV報知器」は、従来ヒトが行ってきた電気試験を毎日自動で行います。これにより、今まで気付くことができなかった軽微な故障もタイムリーに検知することが可能となり、重故障に至る前に早期対応ができるのです。

太陽光発電システムのスマート保安を実現するPV遠隔安全診断システム「PV報知器」は2021年後半にリリース予定です。
詳しくはアイテスまでお問合せください。

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