PIDとは?

PIDとは?

PIDを見た。その発症現象、発見方法とは?

海外の高圧発電所での発生が報告されているPID(POTENTIAL INDUCED DEGRADATION)現象が国内で確認されました。そのPIDを再現し発症現象を解明、発見方法を解説します。今後稼働時間の経過とともに増加するであろうPIDへの対応とは?

PIDとは?

PID( POTENTIAL INDUCED DEGRADATION:電圧誘起出力低下と訳されている*1)とは、設置時には確認できない症状で、発電を続けているとソーラーパネルの出力が大幅に低下する現象です。状況証拠では、原因物質としてガラス成分であるナトリウムが指摘されています*2。 

PID問題は、欧州の太陽光発電所で大騒ぎになったこともあり、本当に、日本のような低圧発電設備で発生するのか、発生しているのか、よくわかりませんでした。また、一部の報道では、「国内ではこれまでメガソーラーでPID劣化が報告されたケースはない。」*3と書かれていたり、大手のソーラーパネルメーカーの安全宣言が行われたりして、PID問題は日本では有りえないような印象がありました。ところが、国内沿岸部のメガソーラーでPIDを発症したパネルが多量に見つかったのです。

PID現象をEL画像で見る

PIDのEL画像

現物は残念ながら公開できませんので、代わりにアイテスで人工的にPIDを発生させたモジュールのEL画像をお見せします。4セルモジュールの右側2セルのガラス上に銅板を置き、セル―EVA-ガラス―銅板間に1000V印加しました。2時間もかければ、右側セルのEL発光が弱くなり始めます。このサンプルでは10時間印加しましたので、右側の2セルがPIDを発症しています。右上セルは、 EL発光が全く確認できません。右下セルは、 EL発光が弱くなっています。

実際のPID故障パネルでは、同様のEL画像をセル単位で複数確認することができました。

PIDの発症現象と発見方法

PIDの等価回路
PIDの特定

PIDが発症した状態を等価回路で表現すると、セル内部のシャント抵抗が極端に小さくなり、回路としては内部でショートしています。そのため、セルが発電しても電力が取り出せませんから出力が低下します。

さて、 PIDを発症したソーラーパネルを、ソラメンテで検出できるでしょうか。もちろん可能です。出力低下が微少なPIDは苦手ですが、明らかに出力低下があるPIDは出来ます。等価回路で説明しましたように、セル内部でショートしています。ですから、PID発症ソーラーパネルを含むストリングを、接続箱からソラメンテZで電圧測定すれば電圧降下を確認できます。

同じく、ソラメンテZで抵抗(インピーダンス)測定しても、抵抗の増加は認められません。つまり、PIDを含む故障ストリングは、正常ストリングに比べて電圧降下があり、抵抗の増加はありません。さらに、ソラメンテiSで、PID発症パネルを特定できます。具体的には、接続箱の開閉器がオープンの状態でも、セルが発電しインターコネクター電極に電流が流れます。これをソラメンテiSで見つければよいのです。

賢明な読者様はお気づきだと思いますが、ここまでの点検方法は、バイパスダイオードショートと同じでした。これらを区別する方法は、バイパスダイオードショートはクラスター単位で全セルが同じ反応をしますが、PIDの場合は、セル単位で発症するので、この違いをソラメンテiSで確認すれば、PIDと判定することができるわけです。

*1 化学工業日報 2013年2月13日号
*2 AIST研究成果記事 > 2013年 > 結晶シリコン太陽電池モジュールの出力低下を伴う劣化現象の抑制技術
*3 日経テクノロジー ONLINE 2014/03/19 18:46

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