◆技術レポート◆


MMvol.19 50424KT 2015/4/24


太陽光発電素子のPL観察でわかること その2


前回はPL現象の原理とその観察結果でわかること、を解説した。第2回は、PVXで観測するPLの明るさ(強度)でセルの良し悪しを説明でき、セル加工プロセスが進むほどPL強度は増す、といった、PL観察が太陽光発電素子のベースとなる、半導体ウェハーのドーパント濃度や結晶欠陥の検出に寄与することを報告する。


■POPLIでお手軽にPhotoluminescenceイメージを撮影

PVX(太陽電池EL画像検査装置)に、PL光源(商品名POPLI)を組み合わせることにより、PL現象をPVXのカメラで捉えることができる。PVXで観測するPL強度(明るさ)で、セルの良し悪しを説明できる。これをセルプロセスで解説する。

 

■熱拡散プロセス

P型シリコンウェハーにテクスチャーを形成し、P(リン)熱拡散工程の終了で、粗く表現すれば、日射により発生するキャリアの量が決まってしまう。つまり、PLによるキャリアの発生量はドーパント濃度に比例し、照射エネルギー量にも強すぎなければ比例する。POPLIでの観測条件を一定にすれば、同等のセルであれば同じ強度のPLになる。この時点で、面内にPL強度のムラがあれば、ドーパント濃度の分布ムラか結晶欠陥が疑われる。  

■SiN形成とBSF形成

次に、反射防止膜(SiN)が形成されると、セルの反射率が変化するので入射光量が増加すると考えられるが考慮せず、反射防止膜のもうひとつの役割である保護膜の機能を取り上げる。保護膜の役割はキャリアの表面再結合の抑制である。表面再結合は熱としてエネルギーを放出するので発電にもマイナスであり、PL発光もない。どちらかというと、無駄に発生したキャリアが消費している。そこで、この表面再結合速度を低下させれば、キャリアの寿命(実効ライフタイム τeff)が長くなる。キャリアの寿命が延びれば、単位時間当たりのキャリア数が増え、PL強度が大きくなる。

実効キャリアのライフタイム(Teff)と表面再結合

速度(S)には、式1の関係がある。

 

   1 =  1 +  2S   式1    

   τeff      τbulk       W    

τbulk :バルクライフタイム、W:厚さ

 

 さらに、実工程ではありえないが、Al-BSF (back side electric field layer) のみを形成してみる。BSFは、裏面の保護層であり、また、キャリアに電界効果を発揮するので、キャリアの寿命が延びる、この効果は、PL強度で見ることができる。

■各プロセスアウトでのセルのPL強度

このデータは、同一製造ロット内の試料のものであるが、同一インゴットから切り出した別々のウエハーのものである。厳密には結晶欠陥は異なり、ドーパント濃度も同じではない。PL強度はプロセスを経るごとに強くなっていく。その中でも、BSF層の効果は大きい。実効ライフタイムもBSF形成で大きく延びると考えられている。

セルのPL画像を観察することで、セルプロセスのコンディションを可視化できる。

 

 

 

 

 

 

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