メンテブック 第2版 現場編
施工後10数年の住宅屋根に設置された4KWの太陽光発電システム。晴天にもかかわらず導入時の1/4程しか発電していない。ソラメンテ-Zでインピーダンス測定を行うと全てのストリングで高抵抗を検出。多数の故障パネルより、発電していないストリングが存在する状況になっていた。
発電所概要
6KW、住宅屋根、竣工後10年、天候:晴れ
状況
住宅用太陽光発電システムのオーナーは年々発電量が低下していることを懸念、10数年経過後、4KWの発電システムが、晴天でも600W程度しか発電しなくなっていた。
現地調査報告
パネル枚数は8直4ストリングの32枚。当日の発電量は、675W(天候は晴天)。ストリング4回路(①~④)の開放電圧測定を行なうと①220V、②190V、③170V、④220Vであった。この結果より②と③の開放電圧低下から、ストリング内のパネルに何らかの異常があると思われた。
ソラメンテ-Zで①②③④のストリングを開放状態にしインピーダンス測定すると、4ストリング全て高抵抗を検出した。その後発電状態に戻しソラメンテ-iSでパネルを測定したところ、③と④のストリングに各4枚の故障パネルを特定した。
①と②のストリングでは、全てのパネルで ソラメンテ-iSが反応しなかった。これは該当ストリングでは開放電圧が出ていることより、故障パネルが多発し、PCSの動作点において発電電流が流れていない状態となっていると想定できる。該当ストリングの電流を実測すると、①0.6A、②0.3Aでと大きく低下していることが確認できた。
コメント
今回の事例からも、開放電圧測定だけでは故障パネルの判別が正確に出来ないことがよく分かる。また開放電圧は出ているが故障パネルが多発していると該当ストリングの発電量がほとんど出ない状態になってしまう。故障パネルの枚数によっては故障枚数以上の出力損失が発生する危険性があることを認識しておく必要がある。
発電量を維持し続けるためには、産業用はもちろん家庭用発電システムでも設置初期段階からインピーダンス測定を定期的に行い、パネルの健全性を確認することが重要である。また、高抵抗化パネルではパネル裏面のインターコネクタ部に発熱を伴う場合もあるため保安面でも年次点検は重要である。
ソラメンテ-iSは、パネル表面をスキャンして発電電流を感知する直観的で使いやすい点検ツール。