今回は、ソラメンテのユーザー様からお問合せで、現地調査をした事例をご紹介します。
この現場では、最近、お問合せが急増しているケーブル高抵抗化が発生していました。施工から4、5年経過の発電所で発生しているようです。
これまでのソラメンテ-Z、ソラメンテ-iSの組み合わせでは特定できなかったケーブル高抵抗化を、Z/iS連携キット(SR-200)を使って特定しました。
現地調査
到着時の天候は曇りでした。
接続箱で、汎用テスター・ソラメンテ-Z・クランプメーターの3つでストリングの点検を行うと、下記のような測定結果が得られました。
ソラメンテ-Zの測定表示から、以下の状態が確認できました。
ストリングNo.2:開放電圧が正常ストリングと比較して17%低下、インピーダンスが高い
ストリングNo.4:開放電圧が大幅に低下、インピーダンスが高い
故障モードの判別表にあてはめてみると、両ストリングで、クラスタ断線の疑いがあります。
通常であれば、次はソラメンテ-iSによる故障パネル特定となります。
しかし、ストリングNo.2、No.4ともに、開放電圧がPCSの動作電圧400Vに満たないため動作電流が0Aの状態です。電流が流れていないとソラメンテ-iSは使えません。
(PCS制御については、クランプメーターとソラメンテの点検事例で詳しく説明しています)
そこでZ/iS連携キットにより故障位置を特定することとなりました。
Z/iS連携キットでの点検
Z/iS連携キットはソラメンテ-Zから探査信号を発信し、ソラメンテ-iSで信号をキャッチするオプションです。
探査信号の途切れ目にインピーダンスが高くなる原因が発生しています。
探査信号の切れ目は?
高抵抗のストリングNo.2、No.4をZ/iS連携キットで点検したところ、信号の途切れ目はパネル~パネル間にありました。
信号の途切れ目にある、PVケーブルのコネクタ部を外して確認したところ、緑青錆びが発生していることが分かりました。
これにより電圧降下と高インピーダンスになっていたわけです。
まとめ
今回の事例から、PCS制御され、電流の流れていないストリングの点検にはZ/iS連携キットを使用した点検が有効であることが分かりました。
また、従来機(ソラメンテ-Z、ソラメンテ-iS)では、パネル内部で起こっている故障を特定していましたが、Z/iS連携キットを追加することで、パネル~パネル間で起こっている高抵抗も発見することができるようになりました。
本ページで使用した機器 |
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補足説明
ここからは、ソラメンテ-Zがどのようにインピーダンス測定をしているのかを、図で説明します。
上の図は、太陽光発電システム(接続箱からストリング)の配線イメージです。
ソラメンテ-Zでの点検は、接続箱の各ストリングの開閉器を開放後、入力端子に接触し開放電圧とインピーダンスを測定します。
インピーダンス測定信号の経路
太陽光パネルの内部配線を詳しく見ると、ジャンクションボックス内のバイパスダイオード回路と、太陽電池セルを直列に配線しているセル回路とがあります。
バイパスダイオード回路とセル回路はジャンクションボックス内で並列に接続されており、その構成をクラスタと呼びます。
ソラメンテ-Zはインピーダンス測定信号をP側から発信し、ケーブル→セル回路→ケーブル→セル回路→・・・を通ってN側に戻ってきたものから測定しています。そのため、ケーブル内の抵抗も評価しています。
- ソラメンテ-Z=セル回路+パネル間ケーブルの抵抗
- バイパスダイオード回路については他社器をご使用ください。
異常発生時、Zの測定表示は?
クラスタ故障パネルがある場合
【測定表示】
開放電圧:故障クラスタ分だけ低下
インピーダンス:高い
日中では開放電圧測定後、インピーダンス測定時に測定信号がPから始まり、Nに戻ってきた信号から抵抗値を測定します。
故障クラスタ箇所では、バイパスダイオード回路を通るため開放電圧が低下し、高抵抗となります。
ケーブル高抵抗がある場合
【測定表示】
開放電圧:大幅に低下
インピーダンス:高い
日中では開放電圧測定後、インピーダンス測定時に測定信号がPから始まり、Nに戻ってきた信号から抵抗値を測定します。
ケーブル高抵抗が起こると、開放電圧は大幅に低下します。
ケーブル断線がある場合
【測定表示】
開放電圧:0V
インピーダンス:高い(OL)
日中では開放電圧測定時、0Vとなります。