ソラメンテでハーフカットセルの太陽光パネルは点検できますか?

これまでの主流であったフルセルを使用した太陽光パネルに対して、最近ではハーフカットセルを使用した、新しいタイプの太陽光パネルが各メーカーから販売されています。
(以降、「太陽光パネル」を「パネル」と呼びます)

このタイプのパネルはメガソーラーを中心に現場への設置も進んでいるようで、ソラメンテユーザーの皆様からも、点検方法等についてご質問をいただくことが多くなりました。

ソラメンテでハーフカットセルのパネルを点検することはできるのか?この疑問にお答えします。

目次

フルセルとハーフカットセル構造の違い

フルセル
フルセル
ハーフカットセル
ハーフカットセル

ハーフカットセルとは標準サイズのセルを半分にカットした小型セルのことです。

フルセルに対してセル1枚当たりの電流を半分にすることができるため、発電効率がよいと言われています。

フルセルのパネルの回路構成

図1

まず、おなじみのフルセルを使用したパネルの内部回路を示します。図1のようにセルが直列に配線されています。

一般的には、20~24枚のセルが直列に接続される回路に、バイパスダイオードの回路が並列に接続されています。

図1の赤枠で囲った部分をクラスタと呼んでいます。このクラスタのセルを配線しているに回路に、断線や高抵抗化している異常がある場合、ソラメンテ-Zでインピーダンス測定を行うと高抵抗となります。

ハーフカットセルのパネルの回路構成

図2
図2

続いて、図2は最近各メーカーから販売されている、ハーフカットセルを使用したパネルの内部回路を示した図です。表面(受光面)から見ると、このように半分にカットされたセルが、パネル内に配線されています。 ※一般的な仕様の一例を示しています。

ハーフカットセルのパネルは、セル群が直列に接続されています(図2の赤枠で囲った部分)。直列接続されたセル群を、仮にクラスタ(図2ではクラスタAとB)と呼ぶことにします。

クラスタAとBは、並列に接続されています。したがって、クラスタAとBを構成するセル群は、直並列の回路となっています。この直並列回路がさらに、バイパスダイオードに接続されています。

図3
図3

図3のように、表面(受光面)のセルと裏面(非受光面)のジャンクションボックスは、並列接続された2クラスタ(図2ではクラスタAとB)ごとに、裏面(非受光面)にあるジャンクションボックスのバイパスダイオードと配線されています。

図4
図4

ハーフカットセルのパネルの内部回路を、簡単な模式図で表現すると、図4のようになります。パネル内部の配線を、下記の色分けで分類しています。

  • 黒色:表面の配線
  • 赤色:裏面の配線
  • 緑色:表面と裏面をつなぐ配線

ソラメンテ-Zによるパネル測定

それでは、ハーフカットセルのパネル内部回路に断線があった場合、ソラメンテ-Zで故障の有無を特定できるのでしょうか?

結論から言いますと、断線の位置によってバイパスダイオード側に迂回する電流の状態に違いがあり、ソラメンテ-Zの測定結果が高抵抗となる場合とならない場合があります。

図5

図5は表面(受光面)のセルストリングと裏面(非受光面)のバイパスダイオードとの接続回路、すなわち表面の回路と裏面の回路をつないでいる部分が断線した場合です。

この場合は、並列接続されたクラスタAとクラスタB全体が断線状態になるため、ソラメンテ-Zのインピーダンス測定では高抵抗となり故障の有無を特定できます。

このようにクラスタAかつクラスタBが断線するのは、表面の回路と裏面の回路をつないでいる部分の断線や表面(受光面)のセルストリングの回路だけではなく、ジャンクションボックス内部の半田不良でも起こります。

図6
図6

一方、図6は表面(受光面)のセルストリング内部の直列回路クラスタBだけが、断線状態となった場合です。この場合は並列に接続された直列回路クラスタAは正常に接続されている状態のため、ソラメンテ-Zのインピーダンス測定では、高抵抗とならず故障の有無を特定できません。

以上のとおり、ソラメンテ-Zでは、並列接続された直列回路クラスタAとBの両方が断線したときに、クラスタ断線(高抵抗化)の特定が可能です。

実際に現場で起こっている故障位置の発生頻度は、図6の状態よりもソラメンテ-Zで故障を特定できる図5の状態のほうが多いようです。

ソラメンテ-iSによるパネル電路探査

では、ソラメンテ-iSで故障位置特定はできるのでしょうか?

ソラメンテ-iSの標準センサーは、電流からなる磁界を測定しています。したがって、フルセルのパネルの電路探査と同じように、表面の電極をタッチして反応を見ることで、バイパスダイオード側に電流が迂回しているクラスタ回路を特定できます。

図7
図7

図7のクラスタAとBは、ソラメンテ-iSで電路探査をしても反応しないので、故障個所を特定できます。

図8
図8

また、ソラメンテ-iSでは図8のようにクラスタBだけが断線となった場合でも、断線位置の特定が可能です。

電路探査はバスバー電極で

写真1
写真1

現場でソラメンテ-iSによる電路探査を行う場合は、ハーフカットセル上部のインターコネクタではなくパネル端部のインターコネクタが集合したバスバーで探査を行うことをお勧めします。

特にハーフカットセルはセル上のインターコネクタの本数が多く、セル上を流れる発電電流量が弱いためです(写真1)。

写真2
写真2

例えば、セル上のインターコネクタの本数が4本の場合で、セル1枚あたり0.8 Aの電流が流れていたとすると、インターコネクタ1本の電流は0.2 Aとなります。パネル端部のバスバー電極では、インターコネクタの合計となるので0.8 Aの電流が流れています(写真2)。

このため、バスバー電極で電路探査を行うと、故障クラスタが明確に特定できるのです。特に曇天で日射量が弱いときには、この方法で電路探査を行うといいでしょう。

最後に

以上、ハーフカットセルのパネルの回路構成とソラメンテによる測定についてご説明いたしましたが、ご理解いただけましたでしょうか?

今後も技術革新により、さらに高効率を実現する新しいタイプのパネルがリリースされることでしょう。弊社では、新しいパネルに対しての測定評価を随時実施しております。

現場でのメンテナンスに従事されている皆様が、パネル点検に際しての疑問を解消できるよう、ホームページやメルマガ等を通じて今後も情報提供を続けていきます。

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