【故障事例】お客様が見つけた故障パネルを見てみると?

故障パネルの原因を突き止めたい、とお客様から持ち込まれたパネルからちょっと意外な事実が見つかりました。どうやら、設置後に発生した故障ではないようなんです。

故障パネルを解析

今秋、あるお客様から、「ソラメンテで検査したところ、クラスタ断線しているソーラーパネルが見つかった」と連絡がありました。

ソーラーパネルを取り外し出力電圧を測定、かなり低い数字が出たので、クラスタ断線と確信。パネルメーカー(中国生産のC社製)に、状況を説明し、無償交換となったそうです。

そこで、故障パネルを持参するので、一緒に調べてみましょうとのお話。クラスタ断線の根本原因を知るために解析に入りました。

クラスタ断線であることは確認したが、、、

故障パネル

まず、ご持参のパネルをソラメンテで検査しました。

太陽光の受光面からみて、左2列のセルのバスバーが反応しません。

次に電圧測定すると、36V出力のはずが、24V程度の出力しかありません。出力電圧が1/3低下、ソラメンテで反応しないセルの割合も1/3のセルと一致しています。クラスタ断線に間違いありません。

次に、どの位置で断線しているのかを探します。クラスター断線の主な原因は、半田接合部の不良です。一般的に、半田接合部が断線する前に接合部の劣化により抵抗値が増加し発熱します。そこで、発熱によるこげ(EVAやバックシートの変色)を探しましたが、こげ痕が、見つかりません。

EL画像では、各セルの状態が良くわかる

パネル(イメージ)
EL撮像されたことなる出力のセルストリングを搭載したパネル(イメージ)

1社の海外メーカーのパネルでは、低出力セルを2、4段に配置したEL画像を捉えることができました。EL画像は出力が高いセルが明るく、逆に低出力セルは暗く撮影されます。このようなソーラーパネルが約80%ほどあり、製造上の意図が推察されます。また、海外メーカーのほかの1社や国産メーカーには、このようなセルの配置は見られませんでした。

ソーラーセルの欠陥ではなく、接触不良

どこにも発熱による変色が見られない

そこで、ジャンクションボックスを開けてポッティング樹脂を剥がし、端子をむき出しにして電圧測定します。

ジャンクションボックス
各端子間は12Vだがケーブル間は24V

不思議なことに、端子表面に半田付けされているタブ線表面に接触してみると、全クラスターとも12V出力します。しかしながら、ケーブルコネクタ先端で測定すると、やはり約24Vです。

ジャンクションボックス
端子とケーブル間に樹脂が挟まり、接続していなかった

ジャンクションボックス内の端子を良く見ると、問題クラスタ部の端子とタブ線の間にポッティング樹脂が入り込んでいます。端子とタブ線の間に隙間が有り、接合できていないようなのです。

試しにタブ線と端子をワニ口で挟んで接触させると、コネクタ先端の電圧は約36Vに回復、ソラメンテ検査でも正常になりました。

このパネルは、入荷時に検査していないので、明確ではありませんが、もしかしたら、パネルを設置する前からクラスタ断線していたのではないか、という考えが、頭をよぎりました。

出荷検査合格品?

パネルメーカーは通常、出荷検査を全数行っていると考えられますが、実情はどうなんでしょうか?受入検査をして証明するしかありません。初期故障や経年変化はある程度あるでしょうが、タイムゼロの故障パネルの存在も否定できないものがあります。

あるメガソーラーでは、約7500枚のパネルを設置し、うち50枚近くを交換した、という報告があります。

アイテスは、出荷前のPVXによるEL検査、設置後のソラメンテ点検に対応、また、開発評価から故障解析までソーラーパネルの評価検査・保守点検を総合的にサポートしています。

※お断り:今回の特集で取り上げた大部分のEL画像は撮影ご依頼者様に帰属するため公開することができません。

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