このパネル載せて大丈夫?EL 画像から見るパネル品格

このパネル載せて大丈夫?EL 画像から見るパネル品格

EL画像検査は、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)工場での工程内検査や出荷検査で、セルのクラックや発電不良セル(ブラックアウトセル)を検出、排除したりクラス分けする目的で使われています。

そこで、合格品として出荷されたソーラーパネルをもう一度EL画像検査してみました。そのEL画像群を鳥瞰すると、メーカーによる差が浮かび上がり、各メーカーの製造方針が透けて見えてきます。業界実質標準機、アイテスのEL画像検査装置PVXが捉えた出荷パネルのガラスの中の現実とは?

ソーラーパネルは、選別したセルで構成されている

ソーラーパネルの価格は、その出力特性(5または10W刻み)により決定されるため、製品設計としての出力を想定したセル構成が必要です。そのため、製造した全セルの出力測定を行い、クラス分けを行います。

高出力セルだけを集めればソーラーパネルの単価は高くできますが、一方低出力セルは使い道が無くなり製造コストが嵩みます。また無秩序にセル構成すれば、ソーラーパネルの出力が読めず、生産計画が立たなくなります。

セル製造の工程管理や品質管理能力が高いメーカーは別にして、セル品質がばらつくメーカーは、良くないセルも使わざるをえないのが現状でしょうか。表面的には立派な良品、出力特性だけでは見えてこないソーラーパネル内の個々セルの顔がEL画像で見えてきます。

今回は恣意的に選ばれた海外メーカー2社と、国内メーカーとして販売している大手4社の製品をEL観察しました。以下の記述は限られたサンプル数での感想であり出荷品品質を代表するものではありません。

昔に比べると良くなっているが、多数のクラックを検出

EL画像(良くなっているがクラックは存在する)

噂話ですが、10年前はEUに出荷した海外大手のソーラーパネルは、約50%が返品されたと聞きました。著者らが太陽光発電分野に参入した5年前の時点でも、EL画像をみるとセルクラックどころか、クラック位置から断線しているものが目につきました。

EL画像検査結果
EL画像検査結果(N=130)

今回、海外メーカー2社のほぼ新品130パネルをEL観測したところ、その半数以上にクラック入りのセルが存在していたものの、出力低下が顕著となるクラック位置から断線したセルを含むソーラーパネルは見つかりませんでした。

しかしながら、出力を3分の1失うクラスター断線しているパネルが1枚、1本のインターコネクターが完全に剥離しているセルがあるパネルが8枚見つかりました。

海外メーカー製パネルでは、現時点で発電能力に影響を与えていないが、将来成長して出力ロスを生む可能性がある因子としてのクラックを持つパネルが約50%強、出力低下に直接つながる可能性が高いパネルは全体の約7%という結果です。

国内メーカーの大手4社については、新品を5パネルづつ検査した結果、大きなクラックは1社の1パネルのみに見られました。サンプル母数は異なりますが、国内製パネルのEL画像は良好でした。

EL画像では、各セルの状態が良くわかる

パネル(イメージ)
EL撮像された、異なる出力のセルストリングを搭載したパネルのイメージ

1社の海外メーカーのパネルでは、低出力セルを2、4段に配置したEL画像を捉えることができました。

EL画像は出力が高いセルが明るく、逆に低出力セルは暗く撮影されます。このようなソーラーパネルが約80%ほどあり、製造上の意図が推察されます。また、海外メーカーのほかの1社や国産メーカーには、このようなセルの配置は見られませんでした。

設置前パネルのEL画像検査は必要か?

稼働後の保守点検には多大な費用と費用がかかる
稼働後の保守点検には多大な費用と費用がかかる
EL画像検査イメージ図
EL画像検査イメージ図

今回EL画像検査を行ったサンプルパネルは、その設置前に施工現場に行って撮像したものです。

アイテスでは、「パネルを架台に設置する前に、その品質状況をチェックしておきたい」というお客様の要請を受けて、PVXを担いで現地に赴くことが多くなりました。

海外から現場に運び込まれたパレットからパネルを抜き出しEL撮像をしてみると、多くのセルクラックが観察でき、中には致命的欠陥も見つかります。

これらの欠陥は出荷前にあったものか、出荷後輸送時にできたものかは断定することはできません。しかしEL画像を見るとメーカーの製造工程で発生したものか、完成後の衝撃等で発生したものかは、ある傾向があり、アイテスで推測考察をご報告することはできます。

割れているとわかっているパネルをそのまま搭載することはためらわれます。設置後にクラック起因による不具合が発生し、運転を停止、保守点検、診断して特定するには多大な時間とコストが必要となるからです。

今回の輸入パネルのEL画像検査事例はAランク品でした。今後の施工では、さらなるパネルコスト低減要求からB,Cランクの採用も増えるかもしれません。

設置前のEL検査で欠陥パネルを排除することにより、設置後の保守点検費用の極小化、安定稼働を確保することが可能となります。

出荷後のパネル欠陥率を平均値で語ることはあまり意味がありません。これはソーラー発電システムの電力制御により、個別のパネルによる発電低下が、その何十倍もの発電低下を起こし得るためです。

現状では、パネルの個体差や品質バラツキはきわめて大きいと思われます。設置前検査結果はメーカーをはじめ輸送や施工関係者にもフィードバックされ、より源流での改善が図られるようになるべきだとアイテスは考えます。その間、この水際作戦は、特にパネル品質に少しでも疑念を持つユーザーには有益な品質管理手段になると考えています。

  • お断り:今回の特集で取り上げた大部分のEL画像は撮影ご依頼者様に帰属するため公開することができません。

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