影の影響を受ける発電所でのインピーダンス測定
1つ目の事例は、発電所のオーナー・メンテナンス担当者・パネルメーカーの3者が、共通のツールとしてソラメンテを使用したことにより、故障パネルが明確に特定され、スムーズに交換に至った典型的な事例としてご紹介いたします。
発電所の概要
- 出力1MW(148ストリング)
- 海外製ソーラーパネル
この発電所のオーナーは、今までメンテナンスを他社に委託していました。委託先のメンテナンス会社の点検は、テスターでの開放電圧測定のみで、年次点検では異常という報告はありませんでした。
改正FIT法の施行に伴いメンテナンス課を設立して、自社によるメンテナンスを行うことになり、ソラメンテを導入されました。
この発電所は、次のイラストのように防風林が隣接しています。防風林の側は影の影響を受ける時間帯があるため、開放電圧が低下する傾向にありました。
ソラメンテiSで確認すると、影のかかった部分が発電しておらず、ストリングの電流はバイパスダイオードを通じて迂回していることが確認できました。
点検の結果
下のグラフは、ソラメンテ-Zでストリング点検したデータを、excelでグラフ化しています。148ストリング中10ストリングで、インピーダンス高抵抗となる異常を検出しました。また、防風林による影の影響と、故障ストリングの違いがはっきりと分かります。
後日、オーナー様がソラメンテ-Zの点検結果をパネルメーカーに連絡。パネルメーカーのフィールドサポート担当者がソラメンテiSを持参、問題の10ストリングからトータル20枚の故障パネルを発見し、交換に至ったということです。
パネル(クラスタ)故障による発電電流の低下
2つ目の事例は、ソラメンテ-iS(SI-200)の感度固定モードを使って、 1.3Aと電流量が弱いストリングでも故障パネルを特定できることを、事例としてご紹介いたします。
発電所の概要
- 出力1MW、平成27年12月より稼動
- 海外製ソーラーパネル
- 1ストリング20直
- セントラル集中型の大型PCS
- 野立て
こちらの発電所は、普段はクランプメーターとテスターで点検していました。発電所を担当している電気主任技術者から、電流量が極端に低いストリングがあるがどうしてなのかと、アイテスに相談がありました。
雑草も生えておらず、影がかかるような環境ではないので、発電量低下の原因が特定できない状態でした。
点検の結果
発電所を訪問して、問題のストリングを運転状態のまま、クランプメーターで測定しました。
接続箱内の16ストリング中、ストリング8の電流値は1.3A、直前のストリング1は5.6A、その差は4.3Aでした。(写真右上)
その後、ソラメンテ-Zにより、開放電圧とインピーダンス(直列抵抗)を測定。電流値が大きく低下していたストリング8、さらに電流測定では問題ないと思われていたストリング9の2箇所で直列抵抗が高抵抗(1000Ω)となり、異常を示しました。(下表)
Voc | R | iSによる故障パネルの特定 | クランプ電流計によるIop | |
---|---|---|---|---|
7 | 846 | 8 | 5.6A | |
8 | 789 | 1000 | 故障パネル4枚 | 1.3A |
9 | 831 | 1000 | 故障パネル1枚 | 5.5A |
続いて、ソラメンテ-Zによる測定で高抵抗となったストリング8・ストリング9を、ソラメンテ-iS(SI-200)を使って、モジュール表面から発電状態を調査。モジュールの発電電流が、バイパス回路側に迂回している状況を確認しました。結果、ストリング8・ストリング9それぞれのストリングに、クラスター故障パネルが存在していました。
発電電流が1.3Aしか流れていなかったストリング8においては、4枚の故障パネルを特定、5.5A流れていたストリング9においても、1枚の故障パネルを特定しました。
上の図は、クラスター故障パネルの枚数が1つのストリング内で増加すると、電流量が大きく低下する傾向があることを示したイメージ図です。
- Aの領域では、ソラメンテ-iS(SI-200)を通常通り使用して、故障パネルを特定します。
- Bの領域では、特に日照条件が良い場合に、正常なストリングに比べて電流量が大きく低下します。その場合、ソラメンテ-iS(SI-200)の「感度固定モード」 に切り替えることで、Aの領域と同じように故障パネルが特定出来ます。