バイパスダイオード短絡故障とは?解説とその測定方法

バイパスダイオード短絡故障とは?解説とその測定方法

落雷等で太陽光パネルのバイパスダイオード(以下、「BPD」とします)が短絡故障してしまうことがあります。BPDが短絡故障すると、太陽光パネルやストリング回路にはどのような影響があるのでしょうか? またBPD短絡故障はどうやって特定するのでしょうか?

太陽光パネルの構造をおさらい

まず、太陽光パネルの構造について簡単におさらいをします。

パネルの構造

一般的な結晶系太陽光パネルは、太陽電池セルをインターコネクタで直列に内部配線して、強化ガラスやフレームなどで、強固にパッケージングした製品です。

クラスタ

パネル裏面のジャンクションボックスの中には、バイパスダイオードが入っています。そして、バイパス回路ごとに分割されたセルストリングとバイパス回路を「クラスタ」と呼びます。

BPD短絡故障時の測定値は

それでは本題に入ります。

BPDが短絡故障すると、そのBPDが担う1クラスタ分の開放電圧が低下します。

ある現場の太陽光発電設備で、接続箱の11ストリングをソラメンテ-Zで測定したところ、「開放電圧V」と「内部抵抗値Ω」は表1の通りの結果となりました。

表1 ソラメンテ-Zによる測定結果

ストリング番号
開放電圧 [V]
抵抗値 [Ω]
備考
1
479
10
2
470
10
BPD短絡故障
3
479
12
4
477
9
5
476
8
6
477
9
7
477
9
8
477
10
9
477
9
10
476
9
11
474
9

ストリング番号2のみ、他のストリングと比較して約10V低下していますので、このストリングにつながっているパネルのどこかでBPDの短絡故障が起こっていると推測されます。しかし、抵抗値に大きな変化は見られません。

この表から分かるように、BPDが短絡故障した太陽光パネルを含むストリングは、他のストリングと比較して、抵抗値は変わらないのですが、開放電圧が1クラスタ分(約10V)下がる。という測定結果になります。

BPD短絡故障したパネルの状態

図1
図1

ストリングが発電状態にあるとき、このストリングには図1のように電流が流れます。ストリング全体にIop(動作電流)、BPDが短絡したクラスタにはIsc(短絡電流)が流れています。ちなみに、短絡したBPDには通常とは反対方向にIsc (短絡電流)– Iop (動作電流)の電流が流れることになります。

ここから分かるように、BPD短絡故障があったとしても「発電状態」ではすべてのクラスタに電流が流れるので、ソラメンテ- iSで故障個所を発見することはできません。

図2
図2

このとき、ストリングを開放状態にすると、ストリングの電流は図2のようになります。正常な状態であればストリングの電流はすべて止まりますが、BPDが短絡故障しているクラスタにはループ回路ができてしまっているため短絡電流 Isc が流れます。

この短絡電流Iscをソラメンテ-iSの電流センサーで捉えることにより、BPD短絡故障を起こしているパネルを発見することができるのです。

BPD短絡故障の特定にサーモカメラは有効?

では、BPD短絡故障はサーモカメラでも特定できるのでしょうか?
以下に、BPD短絡故障しているパネルをサーモカメラで撮影した写真を示します。

写真1(表面から)
写真1(表面から)
写真2(裏面から)
写真2(裏面から)

写真1、2はBPDが短絡故障を起こしているパネルをとらえた写真です。

この写真から分かるように、BPDが短絡故障しているクラスタは全体が熱くなるわけではありません。これはセルの個体差により発電性能が若干異なることに起因しています。

写真3(ジャンクションボックス)
写真3(ジャンクションボックス)

また、写真3はBPD短絡故障を起こしているパネルの裏面からジャンクションボックスをとらえた写真です。ジャンクションボックスが部分的に発熱していることが分かります。これは短絡故障といっても完全に短絡するわけではなく、少しばかりの抵抗を持っているために発熱していることを示しています。

このように、BPD短絡故障はセルの発電性能の個体差や短絡の状態によって発熱状態が一様ではないため、サーモカメラで故障クラスタの特定を行う際には、注意が必要です。

BPD短絡故障を特定するには?

サーモカメラ

それではアイテスが推奨する、BPDが短絡故障した太陽光パネルの特定方法についてご説明いたします。

  1. ソラメンテ-Zでストリングの「開放電圧」と「内部抵抗」を測定する。
  2. 開放電圧が約10V低下、内部抵抗は変化無しの場合はBPD短絡故障を想定する。
  3. 該当ストリングを開放状態にし、ソラメンテ-iSでパネルの電流をチェックする。
  4. ソラメンテ-iSのセンサーが反応するクラスタ(BPD短絡故障クラスタ)を特定する。
  5. 最後にダブルチェックとして、サーモカメラでパネル裏面から発熱状態を確認する。

故障パネルを特定する際は、複数の測定器によるクロスチェックをおすすめします。

ソラメンテ-iS(SI-200) デモ動画 バイパスダイオードのショート故障探査(1:41)

  本ページで使用した機器

参考:バイパス回路の故障を解説

「バイパス回路」の故障について、バイパスダイオードの役割、動作、そしてオープン(開放)、ショート(短絡)それぞれの故障モードについて、詳しく解説したセミナー動画です。
【#29】なぜ危険?太陽光パネルの沈黙の臓器 バイパス回路のオープン故障

参考:サーモカメラの使い方

上述の特定方法とほぼ同じ流れで点検しています。サーモカメラを使って、BPDの発熱を撮影しています。
太陽光発電 格安で不良パネルを見つける方法が分かる動画(発電道楽様)

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